まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
注意
この記事は一般的な情報で、診断の代わりにはなりません。痛みや強い症状があるときは、歯科医師や医師に相談してください。
結論:歯ぎしり・食いしばりはまず何をすべき?
タイプと相談先の判定チャート
- 睡眠中(家族に音を指摘された、朝にあごが疲れている)
- いびき・呼吸が止まるとの指摘・日中の強い眠気・起床時の頭痛のどれかがある → 睡眠外来か内科で睡眠時無呼吸の検査も相談し、歯科とも連携する
- どれもない → 歯科でマウスピース(歯を守る装置)を相談する
- 日中(仕事中やスマホを見ているときに歯が触れている)
- まずは『歯を離す』リマインダーなどのTCH対策から始める
- 2週間続けてもあごが痛む → 歯科で顎関節症の診察を受ける
- 両方 → 睡眠中と日中、両方の対策を行う
- どの経路でも → 抗うつ薬を飲んでいるなら、自己判断でやめずに処方医に相談する
補足
このチャートは、下で紹介する学会誌の論文や研究をもとにこの記事がまとめた目安で、学会の診断基準ではありません。『2週間』もこの記事の区切りです。痛みが強いときは待たずに受診してください。
歯ぎしり・食いしばりの主な原因は何?

睡眠中と日中は別のもの
根拠の強さで原因を整理する
| 要因 | 根拠の強さ | 出典(下の参考資料に対応) |
|---|---|---|
| 睡眠障害 | 確立された危険因子 | MSDマニュアル(2024年1月改訂) |
| 精神的ストレス(不安など) | 確立された危険因子 | MSDマニュアル、日本歯科医師会 |
| 喫煙 | 1つの研究(成人133人)で関連あり | Frosztegaら(2022年) |
| 飲酒 | 同じ研究では差なし | Frosztegaら(2022年) |
| 抗うつ薬(主にSSRI) | 研究で関連の報告あり | Avanら(2025年)、日本歯科医師会 |
| 噛み合わせ・遺伝 | 今回確認した資料では確立された因子として示されていない | ― |
喫煙は関連あり、飲酒は差なし
抗うつ薬との関係
注意
薬が気になっても、自己判断でやめたり減らしたりしないでください。まずは処方医に相談しましょう。
原因別の見分け方:自覚だけでは判断できない理由
自覚があっても確定は約2割
朝の頭痛は睡眠の病気のサインかも
- 不眠症の患者:約40%
- 原発性いびき(病気をともなわないいびき)の患者:20%強
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者:70〜74%
症状の出方で見る目安
| 気になるサイン | 考えられること | 相談先の目安 |
|---|---|---|
| 朝のあごの疲れが午前中に消える | 睡眠中の歯ぎしりの影響(加藤ほか 2016) | 歯科 |
| 夕方にかけてあごの痛みが強くなる | 顎関節症(加藤ほか 2016)や日中の噛みしめ | 歯科(顎関節症の診察) |
| いびき・無呼吸の指摘、強い眠気、起床時の頭痛 | 睡眠時無呼吸など | 睡眠外来・内科 |
| 胸やけ、酸っぱいものが上がる | 逆流性食道炎が重なる | 内科・消化器内科 |
具体的な解決方法:マウスピースで歯ぎしりは止まる?
マウスピースは歯を守る装置
馬場一美教授(昭和大学歯学部歯科補綴学講座)は、マウスピースは歯を保護し力の集中を防ぐ装置で、短期的には睡眠時の歯ぎしりを抑えるが、その効果は使い続けると3〜4週間後には消えると説明しています。(Doctorbookのインタビューより要約。掲載日の記載なし、2026年9月28日確認)
歯ぎしりのマウスピースは保険でいくら?
食いしばりの治し方はTCH対策から
- 付箋やスマホの通知に『歯を離す』と書いておく
- 目に入ったら、唇は閉じたまま上下の歯をそっと離す
- 肩とあごの力を抜き、鼻でゆっくり息をする
食いしばりにボトックスは効く?
対策の比較表
| 対策 | 主な目的 | 効果の持続 | 費用の目安 | 保険 | 向いているタイプ |
|---|---|---|---|---|---|
| マウスピース(保険) | 歯の保護 | 抑制は3〜4週間で消えるとの専門家の説明。保護は装着中 | 3割負担で約3,500〜5,000円(2025年4月の解説、改定前) | 条件を満たせばあり | 睡眠中の歯ぎしり |
| マウスピース(自費) | 歯の保護 | 同上 | 医院による | なし | 素材を選びたい人 |
| 市販マウスピース | 簡易的な保護 | 製品による | 製品による | なし | 受診までのつなぎ |
| TCHの行動療法 | くせを減らす | 続けている間 | 自分で行う分はほぼ不要 | 指導は診療内容による | 日中の食いしばり |
| ボツリヌス注射 | 筋肉の力を弱める | 1〜2週でピーク、4〜6か月で消失(1医院の解説) | 1医院の例で33,000円(税込) | なし(自由診療) | 噛む筋肉の張りが強い人 |
| 睡眠時無呼吸の治療(CPAPなど) | 睡眠の病気への対処 | 使用中 | 医療機関で確認 | 条件を満たせばあり | いびき・無呼吸がある人 |
ケース別の対処:歯ぎしりと睡眠時無呼吸が重なるときは?
ケース1:いびきや起床時の頭痛がある
ケース2:顎関節症と言われたことがある
注意
詰め物がよく欠ける、歯がしみる、口が開きにくいといった症状があるときは、タイプにかかわらず早めに歯科を受診してください。
予防・再発防止のコツと、避けたい対応
生活の見直し
- 寝る時間をそろえるなど、睡眠の習慣を整える(一般的な工夫)
- 喫煙者は禁煙を考える(2022年の研究で歯ぎしりの頻度と関連)
- 見慣れて効かなくならないよう、リマインダーの場所は時々変える(この記事の工夫)
避けたい対応
- 市販のマウスピースだけで長く済ませる:受診までのつなぎにとどめる(この記事の考え)
- 歯を削る咬合調整を急いで決める:削った歯は元に戻りません
- 抗うつ薬を自己判断でやめる:必ず処方医に相談する
- 抗不安薬を長く使う:MSDマニュアルは、ベンゾジアゼピン系は有効な場合があるが長期に用いるべきでないとしています
- いびきや朝の頭痛を放っておく
歯科で伝えたい10項目
- [ ] 家族からの歯ぎしり音の指摘
- [ ] 起床時のあごの疲れや頭痛(午前中に消えるか、夕方に悪化するか)
- [ ] いびき・無呼吸の指摘
- [ ] 日中に歯が触れている自覚
- [ ] 服用中の薬(SSRIなど)
- [ ] 喫煙本数
- [ ] 飲酒頻度
- [ ] 胸やけ・逆流症状
- [ ] 詰め物がよく欠けるか
- [ ] 過去に顎関節症と言われたか




