この記事は一般的な情報です。持病がある方や通院中の方は、食事を変える前に主治医や管理栄養士に相談してください。
結論:まず「増やしてよい人か」を確かめてから選ぶ
「カリウムを増やしてよいか」判定チャート
- Q1:健診で腎機能(eGFR)の低下や、慢性腎臓病(CKD)を指摘されたことがありますか?
- はい → 主治医の指示を優先してください。自分の判断で増やすのはやめましょう。
- 次の行動:次の受診で「カリウムはどれくらいまで食べてよいか」を聞く。
- いいえ → Q2へ
- Q2:ACE阻害薬・ARB(血圧の薬)や、カリウム保持性利尿薬を飲んでいますか?
- はい → 医師か薬剤師に相談してください。これらの薬は、血液中のカリウムを上げることがあるとされています。
- 次の行動:お薬手帳を持って、薬局で「カリウムの多い食品を増やしてよいか」を聞く。
- いいえ → Q3へ
- Q3:塩化カリウムを使った減塩塩や減塩しょうゆを、ふだんから使っていますか?
- はい → 商品の栄養成分表示で、カリウムの量を確認してください。
- 次の行動:1日に使う量を量って、表示から何mgになるかを書き出す。
- いいえ → 下へ
- すべて「いいえ」だった場合
- 食事で目標量(男性3,000mg以上・女性2,600mg以上)を目指しましょう。減塩とセットにして、尿ナトカリ比4未満(できれば2未満)を意識します。
- 次の行動:下の1回量の表から、1日1〜2品を選んで足してみる。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」のCKDの章では、血清カリウムが5.5mEq/L以上になると摂取制限が必要とされています。7mEq/L以上になると、不整脈による突然死の原因になりうるとも書かれています。思い当たることがある方は、自己判断を避けてください。(厚生労働省 CKDの章)
カリウムの1日摂取量は足りている?不足する主な原因

目標量と実際の平均の差
| 項目 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 目標量(18歳以上) | 3,000mg/日以上 | 2,600mg/日以上 |
| 目安量(18歳以上) | 2,500mg/日 | 2,000mg/日 |
| 実際の平均(20歳以上) | 2,370mg/日 | 2,190mg/日 |
| 目標量との差 | 約630mg不足 | 約410mg不足 |
平均値は、集団全体の数字です。自分はもう目標量を超えているかもしれませんし、もっと少ないかもしれません。
不足しやすい主な原因
- 野菜・果物・いも・豆の量が少ない:カリウムの多い食品群そのものを食べる機会が少ないパターンです。
- 1回量が少ない食品で「食べたつもり」になる:わかめの味噌汁は、乾燥わかめが2g前後なら約100mgにとどまります。
- 茹でて汁を捨てる調理が多い:カリウムは水に溶けやすいので、茹で汁と一緒に流れ出てしまいます。
原因別の見分け方:カリウムが多い食べ物ランキングは1回量で変わる
1回量換算カリウム表
| 食品名 | 1回に食べる量の目安 | 100g当たりのK(mg) | 1回量のK(mg) | 女性の不足約410mgの何% | 男性の不足約630mgの何% | 茹でて減るか |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 里芋(生) | 2個・80g | 640 | 512 | 125% | 81% | 減りにくい |
| ほうれん草(生) | 1/4束・70g | 690 | 483 | 118% | 77% | 減る |
| さつまいも(皮なし・生) | 1/2本・100g | 480 | 480 | 117% | 76% | 減りにくい |
| アボカド(生) | 1/2個・70g | 590 | 413 | 101% | 66% | —(生で食べる) |
| 刻み昆布(素干し) | 煮物1人分・5g | 8,200 | 410 | 100% | 65% | 減る |
| じゃがいも(皮なし・生) | 中1個・100g | 410 | 410 | 100% | 65% | 減りにくい |
| バナナ | 中1本・可食部100g | 360 | 360 | 88% | 57% | —(生で食べる) |
| 糸引き納豆 | 1パック・45g | 660 | 297 | 72% | 47% | —(茹でない) |
| 鶏むね肉(皮なし・生) | 1食・80g | 370 | 296 | 72% | 47% | — |
| しろさけ(生) | 1切れ・80g | 350 | 280 | 68% | 44% | — |
| 枝豆(ゆで) | さやなし・50g | 490 | 245 | 60% | 39% | 減りにくい(ゆで後の値) |
| 干し柿 | 1個・35g | 670 | 235 | 57% | 37% | —(生で食べる) |
| ブロッコリー(生) | 小房4〜5個・50g | 460 | 230 | 56% | 37% | 減る |
| 乾燥わかめ(素干し) | 味噌汁1杯・2g | 5,200 | 104 | 25% | 17% | 減る |
100g当たりの値は、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとにしています(例:アボカド 590mg)。1回量はこの記事で決めた目安で、実際に量ったものではありません。製品や切り方で量は変わるので、最新の値は食品成分データベースで確かめてください。
順位が入れ替わるところ
1日あと何品?不足分を埋める献立の計算例
計算のルール
- 不足分(mg)= 目標量 − 自分の推定摂取量
- 平均値の場合、男性は 3,000 − 2,370 = 630mg、女性は 2,600 − 2,190 = 410mg
- 茹でこぼす食品は、1回量の値に 0.5〜0.8(20〜50%減)を掛ける
- 水にさらすだけの食品は、0.6〜0.9(10〜40%減)を掛ける
パターン1:朝にバナナ+夜にほうれん草のおひたし
| タイミング | 食品 | カリウム |
|---|---|---|
| 朝 | バナナ1本(100g) | 360mg |
| 夜 | ほうれん草のおひたし(生70gを茹でる) | 483mg × 0.5〜0.8 = 242〜386mg |
| 合計 | 602〜746mg |
パターン2:昼に納豆+夜にさつまいも
| タイミング | 食品 | カリウム |
|---|---|---|
| 昼 | 納豆1パック(45g) | 297mg |
| 夜 | 蒸したさつまいも1/2本(100g) | 480mg |
| 合計 | 777mg |
パターン3:朝にアボカド+間食に干し柿
| タイミング | 食品 | カリウム |
|---|---|---|
| 朝 | アボカド1/2個(70g) | 413mg |
| 間食 | 干し柿1個(35g) | 235mg |
| 合計 | 648mg |
この計算は「平均的な人」を想定した例です。自分の摂取量は人によって違い、1回量と減る割合にも幅があります。Q1〜Q3のどれかが「はい」だった方は、この例を使う前に医師に相談してください。
減塩塩でカリウムに注意が必要な人は?ケース別の対処
ケース1:腎機能が正常で、薬も飲んでいない人
ケース2:慢性腎臓病(CKD)と言われている人
ケース3:ACE阻害薬・ARB・カリウム保持性利尿薬を飲んでいる人
ケース4:減塩塩・減塩しょうゆをいつも使っている人
カリウムを減らす調理法(制限中の人向け)
| 方法 | 減る割合の目安 | 向いている食材 |
|---|---|---|
| 茹でこぼし | 20〜50% | 葉もの野菜など |
| 水さらし(茹でない) | 10〜40% | 生で食べる野菜など |
- 野菜は小さく切る
- たっぷりのお湯で茹でる
- 茹で汁は捨てて、料理に使わない
制限の量は人によって違い、全員に共通する基準はありません。指示された量を優先 してください。
ナトカリ比とは?減塩とセットで続けるコツ
ナトカリ比の目標と測り方
- 目標:至適2未満、実現可能4未満(健康な日本人向け)
- 測り方:随時尿(好きなときにとる尿)を週4日以上、違う時間帯に測って平均する
- 2024年10月公表のコンセンサスステートメントです(報道記事で確認)
続けるための3つのコツ
- 足す食品を固定する:「朝はバナナ」など、決まった1品にすると迷いません。
- 汁物は具を多くする:汁の量を控えめにして、野菜やいもを増やします。
- 記録する:日本高血圧学会の「ナトカリ手帳」(厚生労働省サイトに掲載)を使うと、塩分とカリウムをまとめて記録できます。
専門家・公的情報の見解
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(2024年)の要約:18歳以上の目標量は男性3,000mg/日以上、女性2,600mg/日以上です。2025年4月から使われています。
同基準 CKDの章の要約:CKDでは血清カリウム5.5mEq/L以上で摂取制限が必要です。RAAS系抑制薬は血清カリウムを上げることがあります。
日本高血圧学会(2024年)の要約:健康な日本人の尿ナトカリ比は、至適目標2未満、実現可能な目標4未満を目指します。
市販の『食品成分表2025』は、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(2,538食品)に準拠しています。手元の本で確かめるときは、版が合っているかも見ておきましょう。
やってはいけないNG対応
- 100g当たりの一覧だけで選ぶ:わかめを足しても、1回では約100mgにとどまります。
- CKDを指摘されているのに、自己判断で増やす:主治医の指示と反対のことをしてしまうおそれがあります。
- 「塩分が少ないから」と減塩塩をたくさん使う:使った量に比例して、カリウムも増えます。
- 相談せずにサプリでまとめて補う:「ふだんの食事なら問題ない」という食事摂取基準の前提から外れてしまいます。
- 制限中なのに煮汁やスープを全部飲む:茹でて減らしたカリウムを、汁と一緒にとり直すことになります。
だるさ・脱力感・動悸などがあって、腎臓の病気や薬に心当たりがある場合は、食事で様子を見ずに医療機関に相談してください。
まとめ:今日からできること
よくある質問
Q. カリウムが多い食べ物ランキングの1位は?
Q. カリウムの1日摂取量の目安は?
Q. カリウムを減らす調理法は?
Q. 減塩塩はカリウムの面で注意が必要?
Q. カリウムをとりすぎるとどうなる?
数値はすべて公表時点のものです。基準は改定されることがあるので、厚生労働省などの最新資料もあわせて確かめてください。
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(2024年)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」慢性腎臓病(CKD)の章
- 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査結果の概要」
- 文部科学省 食品成分データベース
- 福岡県薬剤師会 質疑応答(2024年6月)
- 日本高血圧学会 尿ナトカリ比コンセンサスステートメント(報道記事)
- 日本高血圧学会「ナトカリ手帳」
- 健康長寿ネット「カリウムの働きと1日の摂取量」
最終確認日:2026年10月5日




