オメガ3(オメガ3脂肪酸)を多く含む食品の代表は、さば・いわし・さんまなどの青魚と、亜麻仁油・えごま油・くるみなどの植物性食品です。たとえばさば水煮缶なら1缶(固形量約140g)でEPA・DHAを約2〜3g摂取でき、成人の1日の目安量(1.6〜2.2g)を満たせるとされています。
この記事では、文部科学省の食品成分表と厚生労働省の食事摂取基準をもとに、オメガ3が多い食品15選と、魚が苦手な方でも無理なく続けられる具体的な摂り方を解説します。
結論:オメガ3が多い食品は「青魚・亜麻仁油・くるみ」の3グループから選ぶ
オメガ3を効率よく摂るには、青魚(缶詰を含む)・亜麻仁油やえごま油・くるみの3グループを押さえれば十分とされています。
それぞれの特徴は次のとおりです。
- 青魚(さば・いわし・さんま・ぶりなど): EPA・DHAを直接摂取できます。1食で1日の目安量に届く食材が多いグループです。
- 亜麻仁油・えごま油: α-リノレン酸(ALA)が全体の約6割を占め、小さじ1杯で約2.5g摂れます。加熱せず「かける」使い方が基本です。
- くるみ・チアシードなどの種実類: 間食やトッピングでALAを補えます。くるみひとつかみ(約28g)で約2.5gです。
中でもさば水煮缶は、含有量・価格・手軽さのバランスに優れた選択肢とされています。今日から始めるなら、次の3ステップがおすすめです。
- さば水煮缶を3〜5缶ストックする
- 亜麻仁油かえごま油を1本購入し、開封後は冷蔵庫で保存する
- 週2回の「魚の日」を曜日で固定する
魚由来のEPA・DHAと植物由来のα-リノレン酸は体内での働きが異なるとされるため、どちらか一方に偏らず両方を組み合わせるのがおすすめです。
なぜ現代の食生活ではオメガ3が不足しやすいのか?

日本人の魚介類摂取量は約20年で3割ほど減少しており、意識しないとオメガ3が不足しやすい環境にあるとされています。
魚介類の摂取量が約20年で3割減少
魚離れがオメガ3不足の最大の要因とされています。厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、日本人の魚介類の1日あたり摂取量は2001年の約94gから2019年には約64gまで減少しました。特に20〜40代では、肉類の摂取量が魚介類を大きく上回る傾向が続いています。
家庭で使う油がオメガ6に偏っている
サラダ油中心の食生活は、オメガ6過多になりやすいとされています。サラダ油やコーン油、揚げ物、加工食品にはオメガ6(リノール酸)が多く含まれます。オメガ6の摂取が十分な一方でオメガ3が少ないという「バランスの偏り」が、現代の食生活の課題として指摘されています。
オメガ3は体内でほとんど合成できない
オメガ3は食品から摂るしかない「必須脂肪酸」です。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、n-3系脂肪酸は体内で合成できず、欠乏すると皮膚炎などが発症するため、必須脂肪酸と位置づけられています。
体内で作れない以上、食品からの摂取量がそのまま体内量を左右するとされている点が、他の栄養素との大きな違いです。
オメガ6自体は体に必要な脂肪酸であり、悪者ではありません。問題は「オメガ6ばかりでオメガ3が少ない」というバランスの偏りにあるとされています。
オメガ3不足のサインはどう見分ける?
オメガ3不足に特有の自覚症状はないため、食生活の振り返りと血液検査で確認するのが確実とされています。
まずは食生活からセルフチェック
魚を食べる頻度が週1回未満なら、不足の可能性があります。次の項目を確認してみてください。
- 魚料理を食べるのが週1回未満
- 魚の缶詰や刺身をほとんど買わない
- 揚げ物・加工食品・外食が多い
- 家で使う油はサラダ油だけ
- ナッツや種子類を食べる習慣がない
3つ以上当てはまる場合は、オメガ3が目安量に届いていない可能性が高いと考えられます。
体調面のサインはあくまで参考程度に
肌の乾燥などが挙げられますが、原因の特定は自己判断できません。オメガ3不足との関連として肌の乾燥や中性脂肪の高値などが報告されることがありますが、これらは睡眠不足や他の疾患など別の要因でも起こります。体調のサインだけで「オメガ3不足」と決めつけないことが大切です。
気になる場合は血液検査という選択肢
血液中の脂肪酸バランスは検査で客観的に確認できるとされています。医療機関では「脂肪酸4分画検査」でEPAとアラキドン酸の比率(EPA/AA比)などを調べられます。健康診断で中性脂肪の高さを指摘された方は、食事改善と併せて医師への相談をご検討ください。
疲れやすさや肌トラブルが続く場合、オメガ3不足以外の病気が隠れている可能性もあります。食事の工夫だけで様子を見ず、症状が続くときは医療機関の受診をご検討ください。
具体的な解決方法:オメガ3が多い食品ランキング15選
100gあたりのEPA・DHA量ではまぐろのトロ・さんま・ぶりが上位で、缶詰なら1缶で1日分を手軽に補えます。
魚介類のオメガ3含有量ランキング(EPA・DHA)
脂ののった青魚とまぐろのトロが上位を占めます。
| 順位 | 食品(100gあたり) | EPA+DHAの目安 | 1食の目安量 |
|---|---|---|---|
| 1 | まぐろ(クロマグロ・脂身/トロ) | 約4,600mg | 刺身5〜6切れ(約60g) |
| 2 | さんま | 約3,700mg | 1尾(可食部約100g) |
| 3 | ぶり | 約2,600mg | 切り身1切れ(約80g) |
| 4 | さば水煮缶 | 約2,200mg | 1/2〜1缶 |
| 5 | うなぎ(かば焼) | 約2,100mg | 1串(約100g) |
| 6 | まさば | 約1,700mg | 切り身1切れ(約80g) |
| 7 | まいわし | 約1,600mg | 1〜2尾 |
| 8 | さけ・サーモン | 約700〜1,900mg(種類による) | 切り身1切れ(約80g) |
| 9 | まあじ | 約900mg | 1尾 |
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の数値をもとにした目安です。個体差・季節・調理法で変動します。
植物性食品のオメガ3含有量(α-リノレン酸)
油なら小さじ1杯、くるみならひとつかみが1日分の目安です。
| 順位 | 食品 | 1回分の量 | α-リノレン酸の目安 |
|---|---|---|---|
| 10 | えごま油 | 小さじ1杯(約4.6g) | 約2.6g |
| 11 | 亜麻仁油 | 小さじ1杯(約4.6g) | 約2.5g |
| 12 | くるみ | ひとつかみ(約28g) | 約2.5g |
| 13 | アマニ(ロースト・粒) | 大さじ1杯(約10g) | 約2.3g |
| 14 | チアシード | 大さじ1杯(約10g) | 約2.0g |
| 15 | 納豆 | 1パック(約50g) | 約0.3g |
納豆単体では少量ですが、毎日続けやすい点で「底上げ役」として有効とされています。
1日約2gを達成する組み合わせ例
2品以内のシンプルな組み合わせで、目安量に到達できます。
- 魚メイン派: さんま1尾(約2.4g)。これだけで1日の目安量を達成できます。
- 時短派: さば水煮缶1/2缶(約1.5g)+サラダに亜麻仁油小さじ1/2(約1.2g)=約2.7g。
- 魚なし派: くるみひとつかみ約28g(約2.5g)。調理不要で達成できます。
1日で大量に摂るより、毎日コツコツ続ける方が現実的とされています。「今日は魚、明日はくるみ」のように日替わりでも問題ありません。
ケース別の対処:魚が苦手・忙しい・外食が多い場合はどうする?
魚が苦手な方でも、くるみひとつかみ(約28g)でα-リノレン酸約2.5gと、1日の目安量を満たせるとされています。
魚が苦手な人:植物性オメガ3を主役に
くるみと亜麻仁油の2本柱で補うのが現実的です。間食をくるみに置き換える、ヨーグルトやみそ汁に亜麻仁油を小さじ1杯たらす、といった方法なら調理は不要です。ただし、α-リノレン酸から体内でEPA・DHAへ変換される割合は数%〜10%程度と低いとする報告もあるため、可能であれば月に数回でも魚や缶詰を取り入れることが望ましいとされています。
忙しい人:缶詰と刺身で「調理ゼロ」
さば・いわしの水煮缶なら、開けるだけで1日分を確保できます。そのまま大根おろしとポン酢で食べる、トマト缶と5分煮る、みそ汁に汁ごと加える、の3パターンを覚えておくと飽きずに続きます。刺身は加熱による脂の流出がないぶん、効率よくEPA・DHAを摂れるとされています。
外食・コンビニが多い人:選び方のコツ
「焼き魚定食」「さば惣菜」「水煮タイプのツナ」を選ぶのがコツです。
- 定食チェーンでは、から揚げより焼き魚(さば・ほっけ)を選ぶ
- 回転寿司では、いわし・あじ・トロなど光り物と脂の多いネタを選ぶ
- コンビニでは、さばの塩焼き・いわしの煮付けなどの魚惣菜を選ぶ
- ツナ缶は油漬より水煮タイプの方がオメガ3を摂りやすいとされる
妊娠中の方は、キンメダイ・メカジキ・クロマグロなど一部の魚で水銀への注意が呼びかけられています(厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」)。さば・いわし・さんま・さけは特段の注意対象とされていません。
予防・再発防止のコツ:オメガ3を無理なく習慣化する5つの工夫
週2〜3回の魚と毎日の亜麻仁油小さじ1杯を「仕組み」にすれば、不足しにくい食生活を無理なく続けられます。
- 缶詰を常備する: さば・いわし水煮缶を常に3〜5缶ストックし、切らしたら買い足すルールにします。
- 「魚の曜日」を固定する: 例えば火曜と金曜を魚の日と決めれば、献立を迷う手間がなくなります。
- 油を「置き換える」: ドレッシングを「亜麻仁油+酢+しょうゆ」の自家製に替えると、足すのではなく置き換えられます。
- 間食をくるみに変える: 小分けパックを職場や自宅に置き、お菓子の代わりにします。
- 買い物リストをテンプレ化: 缶詰・くるみ・亜麻仁油を定番リストに登録し、考えずに買える状態にします。
酸化対策も忘れずに
オメガ3は酸化しやすく、保存方法が品質を左右します。
- 亜麻仁油・えごま油は開封後は冷蔵庫で保存し、1〜2ヶ月を目安に使い切る
- くるみは密閉容器に入れて冷蔵または冷凍で保存する
- 缶詰は賞味期限の古いものから使い、常に補充する
「ストック(缶詰・油・くるみ)」と「固定化(曜日・定番メニュー)」の2つを仕組みにすると、意思の力に頼らずに継続できます。
専門家・公的機関はオメガ3の摂取量をどう定めている?
厚生労働省はn-3系脂肪酸の目安量を成人男性で1日2.0〜2.2g、成人女性で1.6〜2.0gと定めています。
厚生労働省の食事摂取基準
成人は1日1.6〜2.2gが目安量とされています。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、n-3系脂肪酸の目安量を18歳以上の男性で1日2.0〜2.2g、女性で1.6〜2.0gと設定しています。
なお、食事摂取基準は改定が行われるため(2025年版が公表済み)、最新の数値は厚生労働省の公表資料でご確認ください。
「魚を週2回」は国際的にも共通の目安
米国心臓協会(AHA)も、脂の多い魚を週2回程度食べることを推奨しています(2018年の勧告)。日本と海外で数値の表現は異なりますが、「週に複数回、脂ののった魚を食べる」という方向性は共通しています。
効果についてはどこまで分かっているのか
心血管の健康との関連が研究されていますが、結論が一致しない領域もあります。EPA・DHAの摂取と循環器疾患リスクとの関連は多くの疫学研究で報告されている一方、サプリメントを用いた介入試験では効果が一貫しないとの報告もあります。「食品として日常的に魚を食べること」を基本に据えるのが、現時点で堅実な姿勢とされています。
オメガ3の食品やサプリメントは医薬品ではなく、病気の治療効果を保証するものではありません。中性脂肪が高い方に処方されるEPA製剤(医薬品)とサプリメントは別物です。治療目的での利用は医師にご相談ください。
やってはいけないNG対応4つ
亜麻仁油の加熱調理やサプリメントの過剰摂取など、良かれと思った行動が逆効果になる場合があります。
NG1: 亜麻仁油・えごま油で炒め物をする
加熱で酸化が進み、風味も栄養面の価値も損なわれるとされています。これらの油は熱に弱いため、「かける・混ぜる」専用と割り切りましょう。加熱調理には酸化に比較的強いオリーブオイルなどを使い分けるのが現実的です。
NG2: サプリメントを自己判断で大量に飲む
過剰摂取では出血傾向などのリスクが指摘されています。特に抗凝固薬(ワルファリンなど)や抗血小板薬を服用中の方は、相互作用の可能性があるため、開始前に医師・薬剤師へご相談ください。なお、通常の食事からの摂取で過剰になる心配は少ないとされています。
NG3: オメガ3「だけ」増やして総カロリーを無視する
油は1gあたり約9kcalあり、単純に足すだけでは体重増加の原因になります。亜麻仁油を「追加」するのではなく、今使っているドレッシングや油と「置き換える」発想が大切です。
NG4: 体調不良を食事改善だけで乗り切ろうとする
受診の遅れが最大のリスクです。中性脂肪の高値や長引く皮膚症状などには、食事以外の原因や治療が必要な病気が隠れている場合があります。食事の工夫はあくまで予防・補助であり、治療の代わりにはなりません。
健康診断で異常を指摘されている方は、食事改善と並行して、まず指示された再検査・受診を優先してください。
まとめ:さば缶1缶か、くるみひとつかみから始めましょう
オメガ3対策は、さば水煮缶・くるみ・亜麻仁油のうちどれか1つを常備することから始めるのが確実です。
- オメガ3が多い食品は、トロ・さんま・ぶり・さば缶などの魚介類と、亜麻仁油・えごま油・くるみなどの植物性食品
- 成人の目安は1日1.6〜2.2g(厚生労働省)。さんま1尾、またはくるみひとつかみで到達できる
- 亜麻仁油・えごま油は加熱せず、冷蔵保存で1〜2ヶ月以内に使い切る
- サプリメントの大量摂取は避け、服薬中・妊娠中の方は医師に相談する
まずは次の買い物で、さば水煮缶・くるみ・亜麻仁油のどれか1つをかごに入れることから始めてみてください。
「何を食べるか」より「切らさない仕組みを作るか」が継続の分かれ目です。ストックさえあれば、忙しい日でも1日分を確保できます。
よくある質問
オメガ3はサプリメントで摂ってもいいですか?
食品からの摂取が基本とされ、サプリメントは補助的な位置づけです。魚にはたんぱく質やビタミンDなど他の栄養素も含まれるため、まず食品を優先するのが望ましいとされています。服薬中・妊娠中の方や持病のある方は、利用前に医師・薬剤師にご相談ください。
亜麻仁油とえごま油はどちらがいいですか?
どちらもα-リノレン酸が約6割で、含有量に大きな差はありません。小さじ1杯で約2.5〜2.6g摂れる点も同等です。風味の好み(えごま油はくせが少なめとされます)と価格、続けやすさで選んで問題ないとされています。
オメガ3は摂りすぎるとどうなりますか?
通常の食事で摂りすぎる心配は少ないとされています。厚生労働省の食事摂取基準(2020年版)でもn-3系脂肪酸に耐容上限量は設定されていません。一方、サプリメントの大量摂取では出血傾向などが報告されているため、目安量を大きく超える継続摂取を考えている場合は医師にご相談ください。
魚の缶詰でも生の魚と同じように栄養は摂れますか?
水煮缶ならEPA・DHAを効率よく摂れるとされています。さば水煮缶は100gあたり約2,200mgと生のさばと遜色ありません。缶汁にも脂肪酸が溶け出しているため、みそ汁やスープに汁ごと使うと無駄がありません。塩分が気になる方は減塩タイプや食塩不使用タイプを選びましょう。
妊娠中でも青魚を食べて大丈夫ですか?
さば・いわし・さんま・さけは、通常の範囲であれば特段の注意対象とされていません。一方、厚生労働省の注意事項では、クロマグロやメカジキ、キンメダイなどは水銀の観点から週80g程度までが目安とされています。本記事1位のトロはクロマグロに該当するため、妊娠中は量にご注意ください。不安な場合はかかりつけ医にご相談ください。
本記事の含有量は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に基づく目安であり、個体差や調理法で変動します。
体質や持病、服薬状況によって適切な食事は異なります。健康診断で中性脂肪などの指摘を受けている方や治療中の方は、食生活を大きく変える前に、かかりつけ医や管理栄養士へご相談ください。
最終確認日: 2026年7月17日




